2005年05月22日

悪気はなかった

1 太陽系の生まれた理由


遠い遠い昔のこと。


『何か』が、かくれんぼをしようと思ったらしい。


ところが、その何かはあわてたのか、仲間を集める前に隠れてしまった。
だから、何かが隠れていることをだれも知らない。
そして、いまもまだ見つかっていない。


その何かが隠れていることに逸早く気づき、
最初に探そうとしたのは、太陽だった。


太陽は自ら暗闇に光を放ち、隠れたであろう何かを照らし出そうとした。


しかし、見つからなかった。


太陽が唯一、その何かについて知っていることは、
太陽自身がその何かによって生み出された、ということであった。


太陽には、わかっているだけで十人の仲間がいた。
何かが隠れている、ということに気づいた太陽の賢明さと、
それを探そうとする行動力にひかれ、集まってきた仲間である。


太陽は十人に問いかけた。


「どうだみんな? どこにいるかわかったかい?」


しかし、どの惑星も黙ったままだった。
なぜなら、あの伝説があるからだろう。


見つけたものは燃えて死す


みんな燃え尽きるのは嫌なのだ。
だから、だれも本気で見つけようとしていないのだ。




2 人間の生まれた理由


地球、すなわちわたしはみんなに言った。


みなさん。このままではいけないと思いませんか?
わたしはたしか、太陽さんのまわりを四十五億回ほど回ったと思います。
でも、何かがどのあたりにいるかさえ、未だにわからないなんて。


それでわたしは考えました。
このわたしの体の上に、知恵ある生命体をたくさん生み出そう。


「知恵ある生命体?」


はい。わたしには、水もあれば酸素もある。
気候も水星さんや冥王星さんほど厳しくない。
生命を生み出すには、絶好の環境だと思いました。


「ほう。なるほど」


そして生まれました。知恵ある生命体が。


「え? もう生まれたの?」


はい。わたしは彼らを人間と呼んでいます。


「人間?」


はい。そして今日、何かの居場所を発見した、という人間が現れました。


「タイミングがいいな」


はい。そんな彼といま、ライブでつながっています。


「手際もいいな」


彼はいま友人にその考えを説いています。
というわけで、彼の声を聞いてみましょう。


わたしはそう言って、ある人間たちの会話とその映像を太陽系内に映し出した。




3 人間の叡智


あのさ、わかったんよ。おれ


「何が?」


神様が隠れた場所。


「はあ?」


この宇宙を造っておきながら、未だにどこにいるかだれもわからない、
だれも見つけられないその場所さ。アンタは知ってるかい?


「そんなもん知るかいな」


そうやろ? オイラはわかった。


「……どこ?」


いいか、よく考えてみな。
神様はこの宇宙を造ったんだぜ?
そしたらアンタ、普通は造った宇宙のど真ん中にいるはずよ。


「何で?」


だってアンタ、隅っこにおるようなヤツが、こんな宇宙を造るか?


「……造らんわな」


そうやろ? 神様はきっと隅にはおけないやつよ。
つまり、この宇宙のど真ん中にいる。


「けれど、ど真ん中ってどこよ?」


そこだよ問題は。
どこがこの宇宙のど真ん中なのか。
それを知るためには、この宇宙の四隅がどこなのか知らなきゃならんだろ?


「ああ、四隅がわかれば、真ん中もわかるわな」


それでオイラ調べた。そしたらビックリ。
何と果てがないんや。この宇宙は!


「ええ? それじゃどこが宇宙のど真ん中よ?」


そこだよ問題は。
よく考えてみたら、果てがないなら、
宇宙のどこにいてもど真ん中やないか。


「ははあ」


つまり、宇宙のど真ん中は、オイラや


「!」


だから、神様の隠れた場所は、オイラの心の中や!


「おお!」


そしてオイラの中だけやない。アンタの心の中にもいる!
だってアンタも宇宙のど真ん中だから


「ええ?」


さらにはアンタの中だけでもない。
小さな虫の中にいる。緑の木々の中にいる。この石ころの中にいる!


「ああ!」


すなわち、万物に神宿る、ということだよ。




4 人間の滅びた理由


二人の会話を聞き終えた太陽は言った。


「地球君」


……は、はい?


「……人間って、おもしろいね!」


ホ、ホントですか?


このときわたしは不覚にも、赤くなってしまったのである。


そのとき、地表の気温は一気に上昇。火山は激しく噴火。
数え切れぬほどの巨大な火柱が暴れ狂い、人間は滅びたのである。
そんなものなのか人生。


見つけたものは燃えて死す……
こうして伝説は的中した。
わたしのせいである。


ちなみに『何か』は、まだ隠れている。
はよ出てこいやー!




悪気はなかった 終
posted by marl at 22:26| Comment(1) | TrackBack(0) | 空でうたたね物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ウシシ!幸せまんです!
新物語待ってましたー!うれしー!
オイラがど真ん中!調子にのると大火傷!
自分も君もど真ん中!
すごい!また、自分の人生潤った。ありがとー!
Posted by 幸せまん at 2005年05月24日 00:36
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